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水辺の仙人とナルシスト

スイセン

報われない恋


 雪中花とも呼ばれるスイセンは、雪の季節に凛と茎を伸ばして咲く初春の花。華道においてはいうまでもなく、茶花として、茶道においても椿・梅に続いて重用される花である。 ヒガンバナ科。色や花型の異なるたくさんのスイセン属を総称してスイセンと呼ぶ。代表的なものにニホンズイセンがあるが、その原産地は日本ではなく地中海沿岸で、中国を経由して輸入された。スイセン属にはこの他に、中心の筒状の副花冠が長いラッパスイセン、副花冠は短めで口紅のように赤み掛かったクチベニスイセン、花が黄色で葉が針状に細いキズイセンなどがある。
 属名ナルキッソス(Narcissus)は「ナルシスト(自己陶酔者)」の語源として有名である。ギリシャ神話で、ナルキッソスという美少年が水面に映った自分の美しさに恋し、報われない恋に憔悴した末に花になってしまった。今でも水面から自分の姿を覗き込むように咲いているという物語。
 天を自由に飛翔する「天仙」、地上で修行を積む「地仙」。そして「水仙」とは中国語で“水辺で修行を積む仙人”のこと。水辺で咲く花の姿と芳香の美しさを、人間離れした仙人の佇まいに例えてこの名が付けられた。日本に輸入された際、漢字をそのまま音読みして「スイセン」となった。
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