不思議な出来事

先日の夜、不思議な光景を目撃しました。

駅ビルのエスカレーターに乗っていますと、上階から足音が聞こえてきました。軽やかな子供の駆け足ではなく、革靴を履いた大人の足音です。数秒も経たず、四十代くらいの男性が大急ぎで下りのエスカレーターを駆け降りてきます。間を置かず、もう一人の男性も鬼気迫った表情ですぐ横を走り過ぎました。

なるほど、彼らは電車に乗り遅れそうになっているんだな。急いでどこかへ向かう用事があるのだろう。先方の会議か、あるいは帰社を急いでいるのか、夜遅くまで大変だな。

そんなことを思いながら駆け足の二人を見送っていると、彼らは玄関口に向かわず、再びエスカレーターを登り始めました。

またステップを下る振動が足元に響き、1Fへ。同じやり取りが三回、四回と続きます。

その場にいた誰もが、訝しげに二人の動作を目で追っています。耳を澄ますと、押し殺した怒声が聞こえました。何らかの事件が起こっていることは明らかです。

遠巻きに状況を眺めていると、追っている側の人が追われている側の人に追いつき、ついに追われている側の人が捕えられました。ぐいぐいとフロアの隅に引っ立てられ、やがて二人は柱の陰に見えなくなりました。

非日常から日常に戻り、周りの皆さんも安堵のため息。何事もなかったかのように、店員さんは接客に戻り、お客さんは商品選びを再開しました。

去り際にフロアの隅を除くと、例の二人はまだ同じ場所にいて、追っていた側の人が追われている側の人の腕をつかんだまま、誰かに電話をかけていました。相手は警察の人でしょうか、それともフィクションでしか見たことのない怖い世界の人だったのでしょうか……。

どちらに正当性があるのか不明なまま、「不思議なものを見ちゃったなー」とざっくりした感想を抱えて、その場を後にしました。

ところが一時間後、再び男性を見かけました。追っていた側の人です。ビルの近くの交番にいつもより多くの警察官が集まり、円陣を組んで何やら話しこんでいます。その中に例の男性もいて、警察の人とフランクに会話をしていました。私服でしたがどうやら警察関係者の方だったようです。電話で話をしていたのは、彼らのうちの一人だったのでしょうか。

「こんな風に私たちの見えないところで、秩序を守っている人たちがいるんだな」と普段ならテレビドラマやドキュメンタリーを見ながら思っていることを身近に痛感しました。

ピリッとした非日常を見て、今ある平和な日常を過ごせていることに感謝です。

また、昼夜問わず危険を孕んだお仕事に従事されている警察組織の方にも感謝いたします。

情報管理部 Y.I