父の命日に

3月14日はホワイトデー……ですが、我が家では亡父を偲ぶ日です。

話し足りなかった、やり残したことがある、などと思う間もなく日々は淡々と過ぎゆき、十三回忌も昔日の思い出になりました。兄弟たち全員が成人した今、なかなか一堂に会することができず、命日までに墓所へ赴くと既に花が供えてあったりすることもしばしばです。

そんな折、両親の命日やお誕生日に休暇をいただける会社の制度に、いつも感謝しております。

今年の命日は、母の公休日と被っていましたので、連れ立って墓参りに行きました。我が家のお墓は、実家から徒歩で行ける範囲の近い場所にあります。

そのためか、母は暇を見つけては弔いに来ているらしく、その日も完全に枯れ切ってはいない仏花が供えてありました。「まだ寒いから、お花も枯れずに残っているねぇ」と言いながら、母は淡々と墓の周りを掃除していきます。私も周囲の雑草などを除去し、生前父の好きだった銘柄のビールを備えました。

お線香の煙に包まれながら合掌して、同じように実家の仏壇にも手を合わせ、ふとお線香立てを見下ろすと、長らく掃除がされていないことに気づきました。

お線香立ての掃除は私の仕事で、実家に帰省するたびに灰ふるいで燃えカスを取り除いて滑らかにしています。一か月ほど実家に立ち寄っていなかったので、溜まった燃えカスはかなりのものです。いまだに父や祖父母に手を合わせにくる人が多いということにありがたさを感じながら、時間をかけて丁寧にお掃除をしました。

いつだったか、甥が私の家に遊びに来たことがあります。

私は趣味でお香を焚いたりするのですが、幼い甥は、私がお香を焚くために使っている香炉を見つけると「ぼくもお線香あげる!」とインド香を前にじっと手を合わせていました。

実家に来るたびにお線香をあげているのだとしたら、この燃えカスの大半は甥の祈りの残滓かもしれません。

毎年、この日を偲べること、父の繋いだ命が(私たち兄弟を含めて)大きく育ち、先人を想う気持ちを絶やさずにいられることに感謝いたします。

情報管理部 Y.I