5月、義理の姉の葬儀があり、10年ぶりに帰省した。
私の帰省の方法には、一つのこだわりがある。
思えば昭和30年代、
秋田の実家に帰るには、上野発の夜行列車が便利で一番早かった。
堅い椅子に12時間も揺られる割には、
車窓から景色を楽しめるのも列車が秋田県内に入ってからで、
途中の福島や山形の景色を眺めた記憶が何ひとつない。
東北新幹線が開通してからは、
もっぱら昼間の帰省に切り替え、
車窓からの眺めを楽しむことにしている。
5月15日。土地の人の話では例年なら
田植えが終わっている時期だという。
しかし 車窓から見える田んぼには水が張ってあるのみだ。
岩手山をみると山頂から裾野に至るまでが残雪に覆われている。
大変素晴らしい景色だが、冷えた春を象徴する風景だった。
田植えには強い日差しが
絶対の条件らしいが農家にとっては最悪の状況のようだった。
5月17日。
帰りも田んぼを見た。
たった2日間でこんなにも
変わるものか思われる光景が目に入ってきた。
田んぼ一面には青々とした苗が風に大きく揺れていた。
16日は珍しく23度まで気温が上がり、
一気に作業が進んだためだった。
今回の帰省は、旅の楽しさを十分味わせてくれたものだった。
故郷に帰る旅には、毎回違った発見がある。
これが何とも言えない癒しである
監査役 千葉 久公