ありがとう、オリーブさん

住居の完成と共に植えたオリーブの一本を伐採した。

1995年新居を建設したとき、神戸市から貰い受けた樹木のほか、何か実のなる木を育てたいと家内が買い求め、植えたオリーブの木です。
10年目には、ある程度大きくなったものの、なかなか実をつけてくれないオリーブに、家内は、「間違って、オス・オスの木を植えてしまった。」と悔やんでおりました。
(家内は、オリーブにはオスの木・メスの木があると強く信じています。)
17年目にやっと実をつけた時は、「私は間違っていなかった。」と自慢げに話しておりました。

それから毎年、家内の言うメスの木は、多くの実をつけてくれた。
そのため、毎年11月の上旬は、同級生家族たちが、『オリーブ収穫祭』という名目で集まり、その日は昼間からの飲み会が恒例となっておりました。

しかし、2017年10月の台風の強風で倒れた。
台風通過後、添え木を立てオリーブを起こしたが、木にあった葉っぱは、日増しに枯れていくばかり。
近所の人たちは、木をたたき、まだ生きているはず、復活を期待しようとの言葉。

 その翌年2018年、今まで家内がオスの木と信じていたオリーブがたくさんの実をつけた、なんと441個。
家内は、「台風で倒れたメスの木のため、献身的に頑張ってくれてるんや!」と、感動を交え話す。

しかしながら、2019年は、そのオリーブも12個の実をつけただけであった、
「さすがに頑張りも尽きたんやね!」
「メスの木は、復活の兆しも無いようや。」
「早よ、オリーブの奥さん見つけたるわぁ~」と話し、家内は枯れたメスの木の伐採を承諾した。

我が家を賑わしてくれたオリーブの木を、何らかの形で記念に残したいと、家内は伐採した木をじっと見て思案しており、何を思ったか、非力な腕で太い幹の輪切りを3個も作っていた。
私は、「これ、コースターにでもするん?」と尋ねると、ドンピシャでしたが、切り口がギザギザでなんとも使い勝手の悪そうな出来栄えでした。

そこで、私は適当な大きさで切って、そのまま保管する案を提案した。
「何に使うん?」と家内の問いに、いつの日か、家内が趣味で作っている作品の展示会のモニュメントにでも使ったらエエんちゃうんかと、提案した。
いつ開催するかもわからない展示会に使うとの、とんでもない発想に、家内の自尊心をくすぐったのか、ギザギザのコースターをあきらめた。

それからは、オリーブの枝が玄関に鎮座する羽目となったが、家内が愛着をもって育てていたオリーブの現物がそこにあることで、オリーブから受けた恵に感謝を忘れず。
また、いつ開催するかわからない展示会を夢みて日々過ごす家内がいる。

1本の木ではあるが、今までの思い出の一つであるものを、何らかの形で残せて満足している。

ありがとう、オリーブさん。また、出番があることを期待するで・・・

建物総合事業本部 大阪支店 田中 裕士