30年ぶりに高校の同級生から連絡があった。
SNSというのは凄いもので、本名でユーザー登録をしていれば容易に友人を見つける事ができる。
便利なような怖いような複雑な気持ちであるが、こんな風に久しぶりに旧友から連絡があるのは嬉しいものである。
話の内容は、自分も還暦を前にして断捨離を決断したとの事であった。
その際、物置やら倉庫やらを整理していたところ、高校生の時に使っていた古いギターが出てきたそうである。
彼とは高校時代、同じフォークソング部に所属していて、暇があれば一緒にギターをかき鳴らす仲であった。
そんな彼の思い出のギターを私に貰ってくれないかと言うのである。
高校時代の思い出の沢山詰まったギターだから、いくら断捨離といってもそんなにかさ張るものでもないし自分で持って居たらどうかと伝えると、実は、といって彼は話し出した。
なんでも、当時彼のギターがとても気になっていた私が、ちょっと弾かせてくれと彼に言ったそうで、その際彼にこれはとても弾きやすいギターだ。ネックの太さも厚みもすごく手にしっくりくる。音もきらびやかで弾いていて気持ちいい。
こんなことを伝えたそうである。
数十年たってもそのことが彼の頭に残っていて、自分ももうギターを弾くこともないし二束三文で売ってしまうくらいならば私に貰って欲しいという事であった。
当時の私にとっては、素直な感想を語っただけであったが、そんな私の言葉を大切に心に刻んでいてくれたのだと思うととてもうれしくなった。
同時に、そんな思い出のギターを私に譲るという事を考えてくれた友に感謝の気持ちでいっぱいである。
そのギターを彼に代わってこれからも大事にしていきたいと思う。

建物総合事業本部 上金 智明