先日、両親を連れて富士河口湖の大石公園を訪れました。
初夏に一面を染め上げるネモフィラの花畑が目的です。
父はゆっくりと歩きながら、花を見つめていましたが、「こんな景色をまた見られるとは思わなかったな」とつぶやきました。
実は、父は1年前に心筋梗塞を患い、生死の境をさまよったのです。
私はその言葉に、言葉を返せず、ただうなずきました。
大切な人と、今日という日を一緒に過ごせること。それが、どれほど尊く、奇跡のようなことなのか。当たり前のようでいて、実はとてもかけがえのないものだと、改めて気づかされました。
この1年、父は静かに闘ってきました。
回復には時間がかかり、日によって体調も波がありました。
それでも「また花が見たいな」と口にした父の言葉に応えたくて、この日を迎えました。
この小さな旅を無事に終えられたことに、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
これからも、こうしたささやかな幸せを大切にしていきたい。
そんなことを思わせてくれた、富士河口湖での一日でした。


管理本部 伊藤 博