紅い曼珠沙華(まんじゅしゃげ)

 「曼珠沙華」「彼岸花」「リコリス」など多くの名を持つ花。子供の頃、この花を 道端で見つけ、とても綺麗だと思い、摘んで家に持って帰った。母に差し出したところ、母に「それは、歯っ欠けババアだよ。」と言われた。子供心に、きっとこれは摘んではいけない花なのだと、その時思った。

 巾着田は、埼玉県日高市にある。日本一の曼珠沙華の群生地であり、9月に500万本の曼珠沙華が一面に咲く。巾着田を初めて知ったのは、ネットの写真からで、幻想的な風景に行ってみたくなった。

 実際に巾着田に訪れてみると、想像以上に広範囲に曼珠沙華が咲いていて、一面が紅く染まっていた。多くの人が来ていた。自分が知らなかっただけで、有名な場所だったらしい。
 曼珠沙華は赤のイメージを持っていたが、中には白い曼珠沙華も咲いていた。

 子供の頃のことを思い返し、「歯っ欠けババア」のことを調べたところ、曼珠沙華はそれ以外にも1000以上の異名を持つ花だそうだ。そして、墓に多く咲き、葉と花が同時に咲かないことなどが理由で、不吉な異名が多いということがわかった。「歯っ欠けババア」は、花が咲くときに葉がないことからついたのかもしれない。

 豪華な姿をした花なのに残念なことだ。それでも巾着田では、観に来た多くの人を感動させていた。素敵な風景を見せてくれた曼珠沙華に感謝。

管理本部 課長代理 K. T.