世界一幸福な国の国王夫妻が来日され、連日報道されている。
前国王ともに大変な親日家で日本を尊敬しているとのことを聞き、
大変親近感を覚えた。初めての来日だそうだが、被災地も訪問されると聞く。
歓迎の晩餐会では、乾杯のグラスの底に手を添えた謙虚なお姿が印象的で、
これを見た多くの日本人が好感をもったと思う。
国王としての談話のなかで
「私の仕事は国民のために、国に尽くすことです」と断言している。
日本国民に敬意を払った国会演説には、
国王としての人格と、高い教養を感じ感動した。
ブータン国といえば幸福度世界一ということだけは、
なんとなく記憶していたが、今回の来日で詳しくブータン国が紹介され、
初めてその実態を知った。山間にある住居は素朴で美しく、
国民が皆、穏やかな表情をしている。
普通、王族といえば優雅な暮らしをイメージするが
この国は王族といえども国民同様に質素だそうだ。
先進国でいう「豊かさ」とは程遠い農業中心の九州ほどの小さな貧しい国が
精神的な満足度・幸福度において世界一だとの評価には驚く。
しかしかつての日本もそうだった様な気がする。
先日、日本国内での県別住みやすさをランク付していた。
確かNO.1は福井県、2位富山県・・・・最下位大阪府だった。
都内では吉祥寺が住みたい街NO.1で多分選考基準は便利さとか
環境等が主たる要素になっていると思うが、ブータン国のように
「国民総満足量」という精神的要素を加味すればどうなるだろう。
世界の人口も70億人に達し、近未来100億人を超えるという。
間違いなく水・食料問題がおき地球規模の危機が到来すると予想されている。
先日、石原都知事が「日本よ」という産経新聞のコラムに、
ブラックホールの発見者ホーキング博士の講演での言葉を引用し警告を発している。
「地球なみの文明をもった惑星は、二、三百万ある。
しかしそうした星はその文明なるもののために循環が狂い極めて不安定となり、
宇宙時間でいえばほとんど一瞬に、地球時間でいえば
せいぜい百年ほどで滅びてしまう」
破滅への道を人類の英知をもって避けるのか、
それともこれは避けがたき運命なのか、いずれにしろかなりの速度で
循環が狂い始めていることだけはどうも現実のようだ。
地球温暖化、格差社会、ユーロ圏発の信用収縮等々、
資本主義も曲がり角にきているようで怖いものがある。
相手に敬意を払い、感謝し、恩義を忘れないという単純明快な精神の価値観を、
こんな時こそブータンに学ぶ必要があるのではないかと考えさせられる。
不動産事業部 社長付(開発統括)岩松 寛道