滋賀県の伝統料理に鮒ずしというものがあります。ふなずしと読みます。読んで字のごとく寿司と連想しますが、普段食べている寿司とはまた違ったものになります。本来はなれずしと呼ばれる発酵食になります。日本にはいつの時代に渡来したかははっきりとした証拠はありません。
しかし、奈良時代や平安時代にはすでに「なれずし」は食されていたことが判明しています。「なれずし」は現代の握り寿司やちらし寿司の原形と言われていますが、見た目も味も食べ方も、全く似ても似つかないものです。共通しているのは、お米と魚の組み合わせである点くらいかもしれません。
先日、その鮒ずしをいただいて食べる機会がありました。まずはその臭い。これがダメな人はたくさんいるように思います。たしかに初見は強烈な発酵している臭いの為、躊躇してしまいますが、慣れると平気になってくる感じがします。私は問題ありませんでした。
たしかに魚と米と塩を長期間にわたり漬け込んで発酵させた商品という説明だけで想像はつくかと思います。食べた感じとしましては強い酸味と程よい塩辛さが特徴。食感は、とても柔らかい。そして噛めば噛むほど、熟成された鮒の旨みがじわじわと口の中に広がっていく。
滋賀県ではハレの日の料理としてお祝い事で食卓にでてくるようです。また病中・妊娠中・肉体疲労時などの滋養強壮食品として食べられてきたようです。まさしく先人の知恵が作りだした食べ物です。
今回は知り合いからのお土産でいただきましたが、私としては普段なかなか食すことができない逸品をお土産にしていただいたのは感謝しています。多分知り合いはサプライズとして私がどんな反応をするのか楽しみにしていたようですが。結果的には私にとってはありがたいという結果となりました。

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