父のモッコウバラが咲いた日

今年も、父が大切に育ててきたモッコウバラが、庭いっぱいに見事な花を咲かせてくれました。

たくさんの小さな黄色い花がふわりと広がり、風にゆれる様子を見ていると、自然と心が穏やかになります。

父は1年前に心筋梗塞で倒れました。幸い一命はとりとめましたが、趣味だった庭仕事は体力的になかなか難しいことが多くなってしまいました。

ベランダの手すりいっぱいに茂ったモッコウバラの剪定や世話は今の父には難しく、私が引き継ぐことになりました。

「ここは剪定したほうがいいのかな」「日当たりは大丈夫かな」

そんなふうに花のことを考える時間が、だんだんと楽しみに変わっていきました。

そうして1年、今年は例年以上に咲き誇るモッコウバラとなりました。

父にも手塩にかけたモッコウバラが咲く姿を、再び見せることができました。

咲いてくれてありがとう。

そして、育てる喜びを教えてくれた父に、心から感謝しています。

管理本部 伊藤 博